昭和の高度成長期、東京のかなり裕福な家で生まれ育つ。
山の手の豪邸に住んでいたはずが、気づくと築50年超の雨漏り一軒家の2階に家族と移住。
のちほど、身内のお家騒動に両親が巻き込まれた事を知る。
物心付いた時から、周囲の大人達の言動に違和感を感じていたが、親や周囲の愛情は受けていた。
ただし教育に厳しく、特に母の反応が怖くて毎日ほぼびくびく暮らしていた。欲しいものはすぐに与えてもらえていたが、ほぼ叱られた記憶しかないので自分に自信がなく、身内以外の世界には一切入って行けず。
学校でもいじめに遭い、親友と思っていた人からも突然別れを告げられ、やがて父が下町の新築マンション購入権を抽選で引き当て、引っ越し・転校。
そこでも、これと言って自分に変化は無く、新しいクラスメイトが優しくしてくれてもどうしたらいいか分からず、いろいろとあったが特に楽しかった記憶は無し。
体が弱く、環境の変化がある毎にストレスを感じていたのか、夜寝る頃になると息苦しさを感じるようになっていた。
一流校へ行く興味は全く無かったが、教育に厳しい家の掟のようなものに強制され、時代もあって日々何かと勉強を強制された。
概ね特にやる気の出ない受験勉強は夏休みの宿題の追い込み風に、直感に任せて適当にちょこちょこと物事を把握してアウトプットしていた。でも父親譲りの豪運で、私立高校から浪人、短大へ進み、最終学歴は大卒。
大学時代、唯一運命の人と感じていた幼馴染から自己啓発セミナーを勧められる。何か良くないところへ行ってしまったかも知れないその人を救う、という建前と、自分の心の奥にずっと閉じ込めていた変わりたい、という本音のもとそのセミナーに参加。少し希望を見出したものの、大学を卒業する頃にはほぼ全てを失い、ぎりぎりのところで震えているもう一人の自分を目の当たりにして、余計に辛くなっただけだった。
就職も、やりたいことができる訳ない、という前提で何ひとつやる気が起きなかった。
既に父が個人事業に失敗し、社会人経験のほぼない母親と共働きをしている状態だったので、社会人となって働かなくてはいけなかったが、やりたい事が見つからないし見つけられない日々を過ごす。